「……はよ。」

『え?あ、おはよう…。』


偶然会った奈子に挨拶をして再びイヤホンを付ける。

彼女は何か言いたそうな顔をしていたけど、僕は「それじゃ」と踵をした。


……話せる訳がない。

平気で話せるほど、僕は楽観的に考えられない。


「……久々にサボろ…。」


そのまま前にある階段に足を入れようとして、結界が張ってあるのが分かった。


「……。」

「…何?龍樹。」