「退院おめでとうございます!」

「ありがとうございます!お世話になりました、看護師さん」

「じゃあ、これからも大変だろうけど、頑張ってね」

「はい!じゃあ失礼します」

病院を出た。
背中には、光輝。
胸には、ゆあをおんぶしている。

少し重たいけど、これがどんどん重くなるんだなぁ…それにつれて、幸せの重みも増えてくんだろうな…。

「大丈夫?そんな小さな体で」

「大丈夫っ!私お母さんだもん」

「そっか、そっか♪

………あのさ

……俺

あずさの事好きだよ。」

「え?」

「会った時から、ずっと好きだった。」

「…………ごめん、輝。
私は、まだゆうに恋してるから」

「………そっかぁ。どんな人だったの?旦那」

「輝いてた。人一倍輝いてた。そして………、私も輝けた。」

「俺も、輝けるかな……?その旦那みたいに」

「もう、十分輝いてるよ!輝は、輝いてる。だって名前も輝じゃん」

「そっかぁ!

じゃあいつか………

その旦那より輝いて、あずさの事……

奪いにいくからな!」

「フフ♪何年かかるか」

「ふっ、俺をナメんなよ!」

自慢げに言ってきた輝。
可笑しくて笑えた。

「じゃあ、またね」

「おう!気おつけろよ」

私は、タクシーに乗り込んだ。
見えなくなるまで、手を降り続けた。

"ありがとうね"