「っやめろよ!って、あずさどうしたんだよっ。ってオイ、待てよ」

私は、病室から逃げ出してしまった。きっと、今ゆうと話したらきつくあたってしまいそうだから。ゆうは、悪くないのに………、私がただ勝手に嫉妬しているだけなのに、ゆうにきつくあたってしまいそうだから。

ひたすら走って、着いたのは、屋上だった。
秋風が心地良く吹かれ、今だに流れている涙は、冷えて冷たくなっていく。
ほんと、可愛くない。
急にイライラから、寂しさへと代わっていく。

「………ゆう、……ゆう……ゆっ「病人を走らせるなよ」」

ドンッと開いた鉄のドア。息を乱しながら、近いてきて、いきなり強く抱きしめられた。

「ヤダぁ」

私が暴れたら、ゆうに大人しくしろと言われ仕方なく大人しくした。
ゆうの胸板が暖かくて、ゆうが優しくて、まだ流れている涙がさっきよりも激しく溢れてきた。
息も乱れ、子供みたいに泣いた。

「ヒック、ヒッ、ごめッ、ごめんッ、ごめんねっ」

「いいから、落ち着け」

「私、私嫉妬しちゃったよ。さっきのお医者さんにも……っ、ゆうを見るすべての人に嫉妬しちゃうよっ」
「………」

「醜いでしょ。重たい女でしょ。ごめんね。ごめんっ「誤らないでっ、泣かないで……。反則だから、あずさ」

「へ?ッ」

ゆうは、私の涙を手ですくいながら、私の唇に激しいキスを落とした。

「あずさ……、俺めちゃくちゃ嬉しいよ!あずさが嫉妬してくれて、めちゃくちゃ嬉しい」

「へっ?」

「好きな子に嫉妬されて嬉しくない奴なんて、いない。」

「重たい女とか思わない?」

「思わない」

「束縛が激しいとか思わない?」

「逆に嬉しいよ」

「ッ、嫌いに……、嫌いにならない?」

「なるわけがない」

「ッ、ゆう、大好きっ!」

「俺は、愛してる、一生愛してる。嫌いになんかならない。あずさを手放すなんて、俺の選択肢には、ない」

「ゆうっ」

私は、また子供みたいに泣きじゃくった。
ただ、泣きじゃくった。



彼が優しくて。

彼が愛しくて。

彼が大好きで。