「やだぁっ、やめてよ」
「遊ぶだけじゃん」
「やめてくださいっ」
どこからか、女が絡まれている声が聞こえた。
いつもは、助けには行かないが、なんかほっとけなかった。
声のする路地裏に行ったら、やはり女が男二人に絡まれていた。
「やめてっ」
「いいじゃん、少しくらいつきあっ「おい、やめろよ」」
「誰だよ、お前」
「俺?こいつのつれ」
「ちっ」
舌打ちをして、男達は去っていった。
女は、しゃがみ込んで震えていた。
「もう大丈夫だから心配すんな!」
「ッん、ぁりがとぅございました」
顔を上げた女の顔があまりにも綺麗だった。
少し涙目になりながらお礼を言った彼女は、男ならすぐ理性がとぶだろう。
「ほら」
俺は、女の手を引っ張り上げ、立たせてあげた。
「ほんとにありがとうございました」
「良く、絡まれるの?」
「はい……。私みたいな不細工、なんで絡まれるか不思議で……。」
あぁー。そうか、この子無自覚なんだ。
「気おつけれよ!じゃあ、俺時間ないから」
もう辺りは、夕焼けになっていて、時刻は16時をまわろうとしていた。
「えっ、今何時ですか?」
「16時」
「へっ、ヤバい。今日は、ほんとにありがとうございましたっ」
ペコッと頭を下げ、走って帰っていった。
俺は、そんな彼女をどこか愛おしく感じた。
俺は家に帰り、一応シャワーを浴び、スーツに身を包み家を出た。
「16時45分か……。ギリギリだな…。」
俺は、急いで駐車場に行き、自分の愛車を走らせた。

