「るあっ!」
想はデカすぎない声であたしを呼んだ。
「んん~!」
あたしは想が抱きしめた途端、涙がとまらなくなっていた。
「とにかく、車の中に入るぞ。バレたら意味ねぇだろ?」
頭を縦に振った。
そして車の中に入った。
「あたし......最悪じゃん。あたしの芸能生活終わりだ....」
「・・・」
想は黙ったままだ。
なんとも言えないのだろう。
「話聞いて?」
「・・・・・わかった」
「あたし、ホテルに連れていかれた。怖くて、強くて、逃げられなかった.......一番は気持ち悪かった」
「で、その後は覚えてない。いつの間にか寝てて、起きたらあたし裸で........ヤスと時間差でホテルを出たら、そこに記者がいたの......」
「ヤス・・・・・・か・・・」
「ハッ!違うの...ち、違う!違うんだってば!」
「やっぱり別れるわ」
..........想のいない世界なんてもう、考えられなくなっちゃってるんだよ?
あたしをそんな風にさせといて......
期待させといて.......
あたしを想でいっぱいにさせといて......
今更・・・・・
「わかった.....じゃあ出るね」
「責任持って送っていく」
「責任?責任ってなに?なんなの.....」
「・・・・」
「あたしをこんなにも惨めにしないで!」
あたしは車から出た。

