俺なら絢に…。
「陽ならかぁ…。俺が陽なら…」
「待って!言わないで!」
聞いたくせになんだよあいつ。
俺ならきっと絢に
“絢に任せるなら犬にでもやらすし”
って言ったかな?
「意地悪…。少しは褒めてよ…」
「なに一人で会話してんだよ…」
聞こえたんだな。
絢…。
だから言っただろ?
“心はいつもそばにある”って。
「陽からの言葉っ」
「なんて?」
「優にはおしえないっ」
そう、この笑顔が見られるだけで幸せなんだ。
幸せだったんだ。
本当にニブイ奴だった・・・。
もう、俺がいなくても
大丈夫―――…。
これで本当にさようならだな。
この世界から
俺の魂は、天使と神様のもとへ帰っていく。
俺が由美と優に託した手紙は、
一生読まれることはない。
そして
俺が生まれ変わることもない。
死んだらもう、生まれ変わらない。
“一ノ瀬 陽”として話す
最後になる。