「おう!俺ら、女の身体に飢えてるからさ」
「桜樹!」
「優!」
「桜樹くん!」
「優、呼ばれてるぞ」
「なんだよ、俺は聖徳太子じゃねぇから一気に呼ぶな」
絢たちは真っ赤になって帰って行った。
優は椅子に座る。
やっぱり、男同士は落ち着くな。
「やっぱ5人は面白いな」
「まったく、共感」
優は髪を染めた。
明るめの茶色。また、女子たちが騒ぐんだろうな。
「…俺ら、何年一緒にいるんだ?」
「10何年かは軽く一緒だな。後悔してない?」
「してないって言ったら嘘になるけど、してるって言っても嘘になる」
『なんだよそれ』そういって優は笑った。
後悔してるとしたら、
絢を苦しめたこと。泣かせて、突き放して…。
「プラマイプラス。」
「プラマイプラス…?」
「そ。俺の人生はマイナスから始まって、マイナス続き。」
『生まなきゃよかった』
そう母親に罵られ、マイナスから始まった人生はさらにマイナス。
でも
優や由美と出会った。
それからだんだんいいほうに傾いて、
絢に出会った。
絢に出会って愛されて、プラスになった。
『生まれてきてくれてありがとう』
俺は生まれてきてもよかったのか?
その答えをそこで見つけた。
だから、プラマイプラス…。
だから、不幸だなんて思わない。
病気になったことも全部。

