「さおりー、忘れ物は?」 お母さんが玄関までやって来る。 「ないよ。多分…。」 「そう。じゃあ、お母さんは後から行くからね。また後で。」 「うん。わかった。いってきます。」 「いってらっしゃーい」 今日は、東真高校の入学式。 私、斉野 早織は晴れて東真高生になるのだ。 まぁ、地味で目立たない、私らしく生活できればいい。 目立つのは苦手だ。