バカか僕は。 子供だってわかるような冗談に、何を。 きっと返ってくるのは不機嫌な声か、嘲笑か、はたまた退屈そうな声だと。 そう、思っていたのに。 「ーーあら、どうして?」 彼女の声は少しだけ楽しそうになっていた。 「……」 振り返った彼女の微かな笑みに、僕は思わず動きを止めた。 なんて、綺麗なんだ。 上がった口角は本当に少しだけなのに。 彼女の微笑みは、まるでそれが最上級だとでも言うような、そんな美しさだった。 目が、奪われる。 比喩なんかじゃなく、本当に吸い込まれそうだ。