花とキミ*秋・冬




「何言ってんの?」

ねぇ、空哉くん。

もういいでしょ‥苦しいよ。

「私には‥‥‥‥
気づかないフリなんて無理なの。」

ちゃんと、最後くらい

聞き分けのいい子演じさせてよ。

「だから‥訳分かんねぇって。」

引き留めるフリなんてやめてよ。

その優しさに
すがりたくなっちゃうから。

「もう‥っ‥‥やめてよ‥‥っ」

ますます、離れられなくなるから。

信じてたのに‥‥
裏切ったのは、空哉くんじゃない。

ポタポタと落ちる涙。

「‥‥さようなら。」

手が緩んだ隙に、走って逃げた。