《次の日,朝》
『ピーンポーン』
家のチャイムが鳴った。
来た相手は分かってるから、そのまま玄関を開ける。
「あ、おはよう結弦」
「お、おはよぅ」
わたしは家まで迎えに来てくれた高野くんに対して
俯き加減に挨拶をする。
「あれ?髪結んでないんだね。もしかしてまだ準備できてない?」
「う、ううんっ。髪だけだよっ。
ほらっ、鞄ももう準備してるしっ。」
「結弦ちゃんっ、お弁当忘れてるわよっ」
「あっ…」
後ろからお母さんがわたしのお弁当を持って
慌てて駆け寄って来た。
「あ、ご、ごめんっ」
「いいのよ〜。あら、かっこいい男の子。どちら様??」
お母さんは高野くんを見て、目を光らせて聞いてくる。
「え、えと…」
「結弦さんのクラスメートの高野夏樹と言います」
わたしがしどろもどろしていると
高野くんが変わりに答えてくれる。
それでお母さんはニヤニヤしてわたしに言ってくる。
「あらあら、かっこいい彼氏が出来たのねっ」
「そ、そんなんじゃあないっっ。お母さんのばかっ。もう行ってくるっ」
わたしはお母さんから逃げるように
高野くんの制服の裾を引っ張って家を飛び出した。
っもうお母さんは!!
駅に行く途中高野くんは楽しそうに言った。
「結弦のお母さんって、結弦のお母さんって感じだなー」
「ぇえ、それってどういう感じなのかな??」
のんびりしてるってこと??
まぁ、お母さんものんびりしてるけど…。

