「本当、そっくりね。」
幼い頃から私たちが言われ続けた言葉。

 私はそれが、大嫌いだった。

 顔は似ていても、私とみおは全然違っていた。
どう頑張っても、みおには勝てなかった。
ピアノも習字も勉強も、全てを器用にこなすみお。
私にはそれがどうしても出来なくて…
唯一勝てたのは運動だけ。

 中学生になって、陰で男子が言っていた言葉。
「みおちゃんはかわいいのに、もう片方はかわいくねー性格だよなー。」
「顔だけそっくりでもなー。」
そう言って笑っていた。
みおとケンカした時は女子までもがみおの味方だった。

3年生になって、みおが私と同じ高校に行きたいと言い出した。
みおの頭では、学区内のトップ校に行けるはずなのに、だ。
1、2年前の私なら、絶対に許さなかっただろう。
高校でも比べられるなんて絶対嫌だから。
でも、今は違う。
もう誰も私たちを比べなかった。
だって、みおと私は全然違うから。

 あまりにも、違い過ぎたから。

早乙女弥央。性格、スタイル、顔、全て良しで、誰にでも優しい学校のアイドル。この学校の生徒会長。
そして私、早乙女莉央。廊下を通るたびに道ができる、誰もが恐れる不良。この学校の番長。

 もう、誰も私たちを比べなかった。