俺達は見ることも稀な一卵性双生児として生まれた。性格は真逆だが俺達が言うのは何だが、他の双子の奴等より仲が良い。だが俺達はある時から仲が良いのは変わらなかったが双子の関係がずれてしまった。


それは約6年前。


俺達はある雷の鳴った日の夜。
まだ幼かった俺達は雷の音で目を覚ました。今にも落ちそうなくらいの雷が鳴っていた。兄の恭祐はそれほど気にならなかったように寝返りをうって再び寝つこうとした。だが、恭祐と少し離れたベッドで寝ていた弟の悠祐は怖くなり、恭祐のベッドへ潜り込もうと自分のベッドを出ようとした。
その時、母さんの苦しんでいるようなだがどこかぎこちない声が聞こえたような気がした。それは恭祐にも聞こえたようで起き上がるとベッドに座った状態で止まったままの悠祐と目が合った。


「聞こえたか?」


「…うん。母さんの声…。ねぇ恭ちゃん…母さん苦しんでるのかな?」


俺達の声は小さいながらもひっそりと室内に響いた。恭祐は目線を外し少し悩みながら結論を出す。


「分からない。けど母さんが苦しんでいるなら助けに行かないと。」


俺達は再び目が合うと頷き合い母さん達が寝ている部屋へと静かに足を運ぶ。するとドアに隙間が開いていた。


「かぁ…っんっ?!」


悠祐がドア越しに呼ぼうと声を出すと冷静に恭祐は悠祐の口を塞ぐ。そして恭祐は静かにドアのギリギリまで近づき覗いた。悠祐は恭祐に倣って上から覗いた。
すると父さんと母さんはやはりベッドにいた。もぞもぞと動く布団は寝返りだと感じられた。悠祐はそれを見て母さんは苦しんでいないと分かり、自分の部屋へ戻ろうと恭祐のパジャマの裾を引いた。
だが恭祐は動かずじっと固まっていた。不思議に思い恭祐が見る部屋の中をもう一度見た。そしてよく耳を澄ませてみると声が聞こえてきた。