「あーもーはいはい。そこまで。水無くんも神無くんもケンカしない!」


「うるさい!」
「先輩は黙ってて!」


悠祐はせっかく止めに入ったのに2人に気圧されてしまった。こういう息の合った行動はさすが双子だと思う。悠祐の甘い行動にも見かねて手で悠祐を制した。


「悠祐、無駄だ。」


「でも…」


「俺がやる。」


悠祐が少し下がったのを認めるといがみ合う2人の間に立って見下ろし腕を組む。そして小さく息を吸うといつもより低い声で投げかける。


「お前らいい加減にしろ。ここを誰の部屋だと思っている。静かにしなければもうお前らとは関わらない。近づいてきても何もしない。それでもいいのか。」


2人の声は続けることを止めた。恭祐が言えば2人にとっては結果は同じなのだ。水無は仲良くしていたい。だが、関わらないと言われれば本当に関われなくなり仲良くなったのは嘘になる。神無は神無で恭祐に近づいていっても何もしなくなるのは面白くない。恐らくどんなに試したとしても結果は同じになるだろうと。2人は頭を下げた。

「すいませんでした。」


まるで主人と下僕のようだと悠祐は不覚にも思ってしまった。そう思ってしまうのも仕方がない。恭祐は腕を組み2人を見下ろし、2人の頭を下げた姿は土下座になっているのだから。


「もう追究するなよ。こうなればどっちも悪いという事にしておけ。いいな。」


「はい。」


2人の背中はうなだれているように思え小さい背がさらに小さく見えた。悠祐は恭祐の隣に立って小さな2人を同じく見下ろしてから恭祐に声をかける。