気の高められた僕達は家に戻ると沈黙の中にいた。お互いの顔は赤く染まったまま、ただ立ち尽くしていた。


「神無」「水無」


「「ヤバかった…」」


僕達は部屋へやっとの思いで辿り着くとドアの側でへたり込んだ。そしてお互いの顔を見ては逸らし、未だ火照ったままの頬が僕達の心を示していた。


「神無…男の子同士であんな事出来るのかな?」

目尻を下げた横目で隣にいる弟を見る。水無の目には期待と好奇心が混じっていた。

「水無…。あの2人一個上の九十九っていう双子だよね?仲良しだけど真逆な性格の双子だって有名だよ。」


落ち着かない兄の肩を抱き寄せながら言う。

一個上の双子。兄、恭祐。弟、悠祐。恭祐はクールで成績もいつも優秀でかっこいいが態度はキツい。悠祐は成績はあまりいいとは言えないがいつも明るく人当たりのいい人気者だ。2人はいつも一緒にいる。僕達みたいに。


「ねぇ…水無。水無が言ってたあれ、本当に出来るかどうか僕達も試してみない?」


「えっ?」


神無は水無の答えを待つ前にはもう押し倒した格好でいた。水無は心配そうに尋ねる。

「神無…ねぇどっちが入れられんの…?」


「そりゃもちろん…」


神無の視線は水無にあった。水無は目を見開いた。


「う…嘘…神無待ってっ…僕無理だよっ!…神無?ねぇ聞いてる?…っんっ!」


期待から動揺と不安へと変わった瞬間だった。押し倒された状態の水無の上目遣いに神無は理性を止められないでいた。神無は水無に自分の思うままのキスをする。


「んっはぁっ…ちょっ…んっ…ふぁっ」


甘い口付けに水無の理性も既に限界だった。そしてそのキスの反応を見た神無はあの時見たのをふと思い出し、ゆっくりと左手を下へ這わせた。