「ねぇ水無くん♪水無くってさなんで生徒会入ったの?」


「えっえーと、神無に誘われたからです。」


「そうなんだー。」


最近この人の接近が怪しいと感じている神無だ。分かっている。この人は水無に気がある。僕達が先輩方に声をかけた日の午後辺りからやけに近づいて来るようになった。


「ねぇ水無くん♪」


ある時は教室へ。


「やぁ〜水無く〜ん。」


またある時は廊下で。


「ねぇねぇ水無くん♪」


そしてまたある時は生徒会室で。日に日に馴れ馴れしく不用意に水無に近づく。神無はそれにつれ苛立ちが募っていった。そしてプチッと何かの筋が切れるような音が聞こえそうな怒りの変化を見せた。


「あの!悠祐先輩!ちょっと話があるんですけどいいですか?」


表では分からない怒りだが悠祐には分かった。すっと目を細めてから直ぐにいつもの明るい笑顔に切り替え、皆のいる生徒会室から非常口から外の階段のある場所へ出た。


「いい加減にしてください。水無は僕のなんです。手、出さないでくれますか?それと先輩のやり方すっごく嫌いです。…変態!」


言い残すと走って生徒会室へ戻った。


「プッ…くくくく…変態?水無は僕の…か…。恭ちゃんもこんぐらい言ってくれたらな〜。…んま、やりがいあんじゃん?奪!兄!ってね。まっ影で攻めるか。」


にっと口角を上げ笑むと一瞬にして冷たい目へ変わった。


その日から人前での悠祐のアピールは乏しくなった。その反応の変化に神無は安心し始めていた。だがそれは違った。神無が先生や先輩に呼ばれる度に悠祐は水無を話相手と偽り呼び出していた。


「ねぇ水無くん、水無くん♪今度の日曜って暇〜?水無くんともっと仲良くなりたいな〜どう?一緒に遊ばない?」


「えーとじゃあ神無にも聞いておきます。僕達が合えば行けます。」


「違う違う。2人で遊ぼうよっ♪うーん…なにがいいかなー。」


「2人で…ですか?神無はいいんですか?…僕水族館行きたいです。」


「神無くんとはまた一緒に行こうよ!いつでも行けるから♪よーし、水族館か!分かった!じゃあ日曜神無くんには内緒で水族館行こうか♪」


「はい♪」