翌日、校内に入った俺達はばったり…というか待ち伏せされていたように昨日の双子に会った。


「あの!先輩方は小、中でも有名だったあの九十九兄弟なんですか?!」


黄色い声が2つ俺達に向かって飛んできた。


「えーと、あ〜うん。多分…有名だったの?」


曖昧に返し恭祐にこそっと耳打ちする。


「さぁ。そういうことにしておけ。」


恭祐は冷静に返す。悠祐もまぁいっかと半ば諦め気味に認めた。すると2つの顔はぱぁぁっと明るくなった。


「じゃあ小学校と中学校どこでしたか?!」


興味津々の期待に満ちた瞳が俺達を向いていた。


「あー小学校は雲雀第一小学校で〜中学校は神山中学校だよ。」


「やっぱり!」


悠祐が言い終わると同時に2つの声が揃った。


「ねぇ、神無っ♪やっぱり当たったね♪」


「うん♪あ、それより恭祐先輩!…昨日…可愛かったです。」


水無に返事をしてから神無は恭祐の元へ走り寄り耳打ちをした。それを聞いた恭祐の目は見開いたまま動揺の色を隠せなかった。


「恭ちゃんどうしたの?」


「…あぁ、い…いや、何でもない。」


動揺している自分に驚きながら無理矢理元の心を引き戻す。そして目の前にいる双子の弟にすっと目をやるとにっこりした笑顔が返ってきた。恭祐はそれを見ると表情を変えず身体の向きを変えて歩き出した。


「あっ恭ちゃん!ちょっと!…あーごめんねー。やっぱいつも通りじゃなかったみたい。まっ気にしないで。…内緒ね♪」

2人の目線になり口の前で人差し指を立て片目を瞑る。そしてすっと向きを変え少し飛び跳ねて見えるくらいの歩き方で恭祐の後を追った。


「お兄ちゃんの方かわいいなー♪」


悠祐はぽそっと言ったがそれは誰にも聞こえていない。その呟いた瞬間ふと水無は身震いをして不思議に思ったが風邪かと思うくらいで直ぐにいつも通りに戻った。




「恭祐先輩、タイプだな〜。」


こちらもまた水無に聞こえない程度の音量で呟く。その瞬間歩いていた恭祐は後ろから悪寒を感じた。そしてそれが直ぐに神無によるものだと気づきそっと溜め息をついて教室へ足を進めた。




恋に波乱の予感がただよっている───────