杉田さんの車に乗り込む。上に積もっていた雪下ろしを私が着替えてる間に終えたのだろう。乗ってすぐに車を発進させた。


『明日は朝から来て、店の前の雪掻きが必要だな。』

「雪、止みそうにないですもんね。杉田さん明日は朝から出勤ですか?」


『いや、明日も午後からだけど、店長ひとりじゃ大変だろうから。』


「…私も手伝いますか?」


『お前は明日休みだろ?今日は通しだったんだからゆっくり休め。』


「はい。」



話す事がなくなり、無言になる。杉田さんの車で流れるラジオの歌に耳を傾けていると、高校時代に流行っていた雪の歌が流れていた。



昔、大好きだった歌。
大好きだったけど、大嫌いになってしまった歌。

苦い思い出が甦ってきそうになり怖くなって、自分の体をぎゅっと抱きしめた。



『寒いか?』



杉田さんの声で我にかえる。


「い、いえ。大丈夫です。」



『無理するな。』



暖房を最大にしてくれる杉田さん。



「ありがとうございます。」



ラジオからは、もう別の曲が流れ始めていた。


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