逃げる女

コートを羽織り、身支度を済ませて、杉田さんを待つ。


5分位してからようやく店の中へ戻ってきた杉田さんの表情はとても険しかった。



「外…寒かったですよね。雪下ろし、大変でした?」



電話中だったのかは尋ねず、そう聞いてみる。
けれど杉田さんは何も答えない。



「雪…積もってますよ。風邪ひいちゃう。」



頭や肩に積もった雪を手で払ってあげた。


「!?」



その手を握りしめられ、その行動に、手の冷たさに体がビクついてしまった。



『…お前は…会いたいと思ってるか?』



「だ、誰にですか?」



突然の問いかけ。主語がなくて誰の事を言ってるのかすぐには理解できなかった。


『………会いたいのか?』



同じ質問を繰り返す杉田さん。


目を反らす事なく私を見つめてくる。その真剣な眼差しに私の体は反応して、心臓がドキドキと騒ぎ出した。握りしめられたままの手から、私の熱が杉田さんへ伝わっていったのだろうか。冷たかったはずの杉田さんの手はいつの間にか温かかい。


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