美和を抱き、まるで本当の恋人のように、美和の肩を抱きしめた。

そんな時、僕の携帯が電話の着信を知らせた。
智恵子は、電話はかけてこない。
メールは送ってくるが、たいてい夜だ。
こんな時間に電話というのは、間違いなく智恵子じゃない。

「チッ」と舌打ちをしながら、サイドボードにあった携帯を取り上げた。
着信相手を見ると、【アケミ】となっていた。
そうか。まだ、コイツのアドレスを削除してなかったかと思いながら、電話に出た。

「何か用?」と言った。
隣で、美和は不安そうだった。
美和の肩を抱いていた力を、強めた。
アケミは、これから遊ぼうと言う。
簡単に言えば、SEXしようという事だ。
僕は、「無理」と答えた。
アケミとは、だいぶ前に切れていたし、今更アケミを抱く気はしない。
だから、「お前とは終わってる」と言って、電話を切った。

美和が、僕を見た。
「遊び相手」と答えた。

アケミのアドレスが残ってたのは、ただの偶然。
アケミが電話をかけて来なければ、残っていた事すら、気が付かなかっただろう。
僕は、その場で、アケミのアドレスを削除した。
もう、僕にはいらないものだったから。

でも、この行動が、美和に期待を抱かせたものになったのかもしれない。