冬哉先輩は、あれから、表面上は変わることなく、優しく接してくれていた。
ただ、時折、今までより、友人や自分の都合を優先させる事が多くなった気がした。

それが、これ以上は踏み込むなと言うあの日の私への答えみたいだった。

こんな壁を作られてしまっては、踏み込むができないと思った。
冬哉先輩の心の中に入り込みたくても、入れないと思った。

そして、なんの苦労もなく冬哉先輩の心の中に入り込んだと言う智恵子先輩が、羨ましかった。
わたしも、入り込みたいと切に思った。

そして、思った。
なぜ、私は、智恵子先輩じゃないんだろう?
こんなどうしようもない事を思った。
思っても何も変わらない事を思った。

でも、この時は、何も知らなかった。
「冬哉先輩のカノジョ」が決して、良い事ばかりじゃないことを。

私は、何も見えていなかったんだ。