一通り読み終わったのか 「成る程ね」
とフッと薄く笑って本を閉じた。
「で?」
「え?」
不意に問われた声に聞き返すと、愛弓は
にっと笑みを浮かべ、
「俺の気持ちわかった?」
と低い声で尋ねてきた。
聞きなれない低い声にゾクッとする。
「な……」
「ん?」
赤くなっているであろう私の顔を見て、
意地悪な笑顔で楽しんでいる。
「愛弓が意地悪って事は今はっきりとわかったっ」
膨れっ面をして顔を背けると壁に貼ってあるチラシに目が止まる。
お祭り…あるのかぁ。
行きたいな…。
愛弓と一緒に手を繋いで歩いて屋台見て廻って、
花火見て…。
「香住?」
「…へ?」
振り替えるとツンと頬に何か当たった。
「引っ掛かった~」
愛弓の人差し指だったのだ。
人が物思いに耽っていれば…
「もう…」
なんだか愛弓の笑顔に負けて
笑ってしまった。
よくみたら、
愛弓は乗り気じゃなかった様なのに
少しおしゃれしてきてくれていた。
舞い上がってるのは私だけだと思っていたけれど
違かったみたい。
「嬉しい…」
思わず言葉に出してしまう私に少し不思議そうに首を傾げたあと、いつもの笑顔で私の頭をぽんぽんとしてくれた。

