少し時間は遡り…日本に着いた遥は一人、ホテルの部屋にいた

懐かしい都心の景色をぼぉ~っと眺めていたが、大きな溜め息を一つ落としてシャワーへと向かった

環には上階のセミスイートを取っているが、それとは別に狭いシングルを用意した

…今日は病院から戻らないかもしれない…
時差ボケが体に堪えるな…
さっぱりしたら眠ろう…

熱い湯を張り、その中に体を沈めた

どのくらい眠っていたのか…窓の外は暗くなり、美しい夜景が見える

ぼぉっとする頭を起こし、荷物から着替えを出すためにスーツケースに近づいた

…これにも幸運の神様が付いていたら…

遥愛用のあのスーツケースは、乗らなかった飛行機で持ち主と別れてしまっていた

未だに泣き言を思い付く自分は、どこまでも女々しいんだと呆れた笑いがこぼれた