「ミーシャさん!」

マルシェでの買い物を終えて仕事場であるこの建物に入った時、日本語で自分の名前を呼ばれた

ちょこちょこと駆け寄ってくるこの女性は…

「ミーシャさん!お久しぶりです
あの…あたしの事を覚えていますか?
あの時の朝ごはんとても美味しかったです
ありがとうございました」

…あぁ…あの時の…確か…

小夜の顔を驚きの表情で見つめ、一瞬目を伏せた後いつもの無表情に戻した

「あっ…あの…あたし…
会いに来たんです…
ハル…遥さんはいますか?」

…あの男に会いに来たのか…
環様が留守の今、ここを通すわけにはいかない…
あの男がここに住んでいることすら明言を避けなければ…

様々なことを瞬時で把握し、雇い主の不利益にならぬような対応をしなければ一流のメイドとは呼ばれない

「大変申し訳ございません…
家の主は居りませんので応対致しかねます
お引き取りくださいませ」

かなり冷酷に感情を出さずに告げた