表の扉を閉めた店にはトニーが一人で待っていてくれた

慎太郎と何か言葉を交わし、小夜を優しく見つめたあと店の中に招き入れた

「早速…」
と呟き白い封書を開け、慎太郎が目を通し始めた

トニーがコーヒーをテーブルにそっと置いてくれたが、手紙を読む慎太郎に集中していて気付かずにいた

細縁の眼鏡の奥の瞳は書かれている言葉を逃さぬように、鋭さを増していく

最後の便箋を読み終えた後、その瞳を閉じた

慎太郎が何か話すのをじっと待っていたが、瞼と同様に口も閉ざされたままだった

「ちょっと!慎ちゃん!!
何て書いてあるのよ!
教えなさいよ!」

慎太郎の腕を叩きながら由美子がしびれを切らして急かした

「あっ…えぇと…」

眼鏡を直して日本語に訳しながら読みはじめた