二人の撮影は場所を変え夜までかかった

小夜は撮影スタジオの片隅で、何も出来ずにじっと終わるのを待っていた

休憩の間も環は遥を離さず傍にいる

夕方には遅くなりそうだと小夜を一人でホテルに帰そうとしたり、小夜と二人きりにならないようにわざと邪魔をした

…環さん…ハルのこと好きなんだ
でも…あたしはハルを信じる…
そう決めたんだから…大丈夫!

やっと撮影終了の声が聞けたのは10時を過ぎていた

朝、着ていた服に着替えて遥は小夜の元に駆け寄ってきた

「お待たせ…さあ帰ろうか…」

慣れない仕事を一日中したせいなのか遥の顔には疲労が色濃く表れていた

「遥!夕飯を食べに行きましょ!
遅くなると思ってちゃんと準備してあるのよ
ほら!車を待たせてあるわ
行きましょ!
小夜ちゃんもお腹空いたでしょ?
一日中見学していたんだもの…
ご一緒にどうかしら?」

撮影の疲れなど見せず、大輪の薔薇の如く大胆なワンピースを翻して環は現れた