*side 絆那*
ーーーーーペタン……。
腰がぬけて、立ち上がれない……。
……怖かったぁ……。
それにしても、あのヨシくんがあたしのこと助けてくれるとは……。
しかも、怖いお兄さん、逃げちゃったし……。
『ねぇ、大丈夫?』
そう言って声をかけてきたのは……
目と髪が紫色に染まっている……
「……ヨシ……くん……?」
『残念。
ボクは"ヨシくん"じゃないよ。
ボクは、紫子〈しし〉。
キミは?』
紫色の彼は、紫子っていうらしい。
声もヨシくんのものじゃない。
「……あたしは、桑原 絆那。
ヨシくん……は?」
『ヨシくん……?
あぁ、この体の持ち主のこと?
それなら、大丈夫。
少しだけ体借りただけだから。』
「よかったぁ……。」
『ほら、立ちなよ。
洋服、汚れちゃうよ。』
「ぁの……えっと、腰がぬけて、立ち上がれない……。」
『ほら、ボクの手につかまって。』
その言葉に素直に甘えると……
ーーーーーグイっ!
スゴい力で引っ張られた。
そのはずみで、あたしはバランスを崩してしまう。