ーーーーーガシっ!!

急にヤクザの動きが止まった。

どうしたんだろう……?

「おいっ、てめぇ離せっ!!」

ーえ?! 僕?!ー

あれ? なんで?

声が出ない!!!!

ヤクザの腕を握っているのは……

僕の手?!?!?!!?

なんで?!?!?!!?

「いてぇ!!! さっさと離せ!!
 この、クソガキがぁ!!」

『"クソガキ"?』

あ……れ……?

僕の声じゃない……?

「……離せ……」

ヤクザの腕は僕が握っているところから下が真っ青になっている。

『おじさん、女の子、いじめちゃだめじゃん。』

「……わか、た。
 分かったから、その手を離せ……。」

ーーーーーパっ。

『放したんだから、女の子返してよ。』

「俺が悪かった。
 許してくれ……。」

『ん~……ヤダ!!」

ーーーーーバキィ!!

痛そうな音が辺りに響く。

「俺が悪かったよぉ~~~!!!」

殴られたヤクザは半ベソかいて逃げていった……。

これが、僕と紫子との出会い。