ーーーpm10:00

『……ねぇ良人、ボクお腹すいたー……。』

「姉さん、遅いね。
 9時半過ぎるときは連絡くれるのに……。
 電話、してみよっか。」

僕は姉さんの職場に連絡してみた。

"え? 優美さんなら9時くらいに帰ったよ。"

うそ……。

もう1時間は経ってるよ。

姉さん、どうしたんだろう……。

次は、姉さんのケータイにかけてみる。

……機械的な声しか聞こえない……。

「……どうしよぅ。
 ……姉さんに何かあったら……。」

体がカタカタと小刻みに震える。

『良人、もう1回電話してみよ?』

「うん……。」

ケータイをひらいてもう1回姉さんにかけようとした。

でも、震えが止まらず、ぼたんが押せない。

『良人、落ち着いて。
 お姉ちゃん、帰ってくるから。』

「落ち着いてられるかよっ!!
 姉さんが死んだら、僕1人になるんだよ?!
 そんなのやだ……姉さん……。
 お父さんとお母さんみたいにいなくならないで……。
 ゃだ……姉さん、早く帰ってきてよ……。」