少しばかり不幸な僕と少しばかり怖い魔界人


『他にもいろんな特殊能力を持ってるよ。
 怪我をすぐに治せたり、魅了っていって相手の力を一時的に抑えることができたり……。』

「そっか……。」

『ボクね、お父さんに会ったことなかったんだ……。』

「え? 親子……なのに?」

『うん。
 生まれてからすぐに、朱鷺さん〈ときさん〉に育いrてられてたんだ。
 そこでは、なに不自由なく育てられた。
 最近になって、ボクが魔界から送られてきたでしょ?
 王様の命令だからさ、王様のお城に行かなきゃいけなかったんだ。
 その前の日にさ、朱鷺さんから教えられたんだ。
 "紫子、お前の父親は時期王様の黒豊様〈こくほうさま〉なんだよ。
  母親は……、いや黒豊様から直接聞きなさい。"
 てね。
 ボク、信じられなかったよ。
 今まで、両親は死んだと思ってたからね。
 でさ、黒豊様に聞いたんだよ。
 ボクの、お父さんかって。
 そしたらさ、一瞬驚いた顔したんだよ。
 それなのに……。』

「紫子、無理しないで。」

紫子は今にも泣きそうだった。

目の縁には涙が溜まっていた。

『んーん、大……丈夫。』

全然大丈夫じゃないよ。

声、震えてるよ?

『"庶民がそのようなことを軽々しく口にするな。"
 だってさ……。
 だから、お母さんは誰?って聞いたんだ。
 一瞬渋ったんだけどさ、
 "……天界にいる、リリフィアだ。"
 って……リリフィアってのは天界のお姫様。
 なんとなく、そうだと思ってた。
 魔界に、金色の目と髪を持つ者はいないからね。
 そのかわり、天界人はみんな金色の目と髪を持ってるんだ。』

「……。」

言葉が出ない……。

僕も絆那も。