少しばかり不幸な僕と少しばかり怖い魔界人


ーside 流星ー

2人はまだ睨み合っているだけで、動こうとはしない。

お互いに、相手の動きを見ているようだ。

すると蒼園が右手を前に突き出した。

蒼園の右手の中に蒼い塊が出てきた。

それはどんどん大きくなっていく。

波動砲……?

『流星! 絆那!
 遠くに逃げて!! 早く!!』

「あ、あぁ!!
 桑原、こっち!!」

俺は桑原の手を引いて近くにあった、大きい岩の後ろに隠れた……。

ーーーーーダァンっ!!

「「?!」」

なんだ? 今の音。

恐る恐る岩から顔を除かせると……。

俺らが隠れている真横にあった、打ちっぱなしのコンクリートの廃墟に紫子が打ち付けられていた。

苦痛に歪んだ紫子の顔が見える。

目……つぶってる……?

あれ、意識あんのか……?

……波動砲……あれ当たったらシャレになんねぇぞ……。

『紫子、お前はその程度だったか……。
 残念だが、この人間も始末するか……。』

うわっ、俺ら……殺されんの?

日本のどこかもわかんねぇところで?

白骨化して、見つかるんじゃねぇの?

俺、そんなん嫌だし!!

桑原は涙目で小刻みに震えている。

俺、好きな女も守れねぇでなにやってんだ?

でも、俺も怖いよ。

その時……、