少しばかり不幸な僕と少しばかり怖い魔界人


……あれ?

刀が風を切る音や、金属どうしがぶつかる音が……止んだ。

恐る恐る、顔をあげると……

紅園の首もとに刀を向けている銀士の姿が目に入った。

2人とも血だらけ……。

自分の血と、返り血が入り交じってる……。

『どうしたのよ。
 早くわたくしを殺してみなさいよっ。
 そんな勇気もないのっ?!』

『あぁ、俺にはお前を殺すことなんかできない。
 これでも幼馴染みだったんだからな。
 このまま大人しく魔界まで転送されろ。
 その代わり……。』

『その代わり……?』

『その代わり、野田 真輝の呪いを解け。』

『えぇ、わかったわ。』

すると、紅園はぶつぶつと呪文のようなものを呟き始めた。

『……はい、これでこの子は目をさますわ。
 こっちのボウヤは、お兄様が殺されるか、呪いを解かない限り、目を覚ますことはないわよ。
 あたくしに"ワープ"の特殊能力はないから、あなたたちをもとの場所には戻せないわ。』

「……え?!
 じゃあ、僕たちどうやって帰るの?!」

『大丈夫だ。
 俺が2人を抱えて飛んで帰れば問題ない。
 じゃあ、紅園、転送するからな。』

『えぇ……。』

すると、紅園の体は消えていった。

『……ふぅ……少し休ませてくれ。
 傷は……10分ぐらいで治る。』

そうして、銀士は眠ってしまった。

「あたしたちも、少し休もうか。」

「……うん、そうだね。」

あたしたちも、休むことにした。