少しばかり不幸な僕と少しばかり怖い魔界人


2人は、やりあい始めた。

ビュンっと風を切る音、キンっと金属どうしがぶつかる音がきこえる。

その時、赤黒い液体がとんできた。

鉄くさい……血だ。

銀士くんの腕からは血がポタポタと滴り落ちている。

傷が結構深いみたい……。

『……くっ。
 さすがに強いな……。』

「銀士ぃ?!」

『来るなっ!! そこにいろ。』

銀士くんの側に駆け寄ろうとした琉南ちゃんを銀士くんが止める。

ーーーーーバサっ!!

銀士くんの背中から白銀の翼が出てきた。

最初に会ったときもこうだったな……。

そして……

ーーーーーバサァ!!

銀士くんは空高く飛んでいってしまった。

『銀士、逃げたのかしら?
 久しぶりに刀をかわしたけど……
 銀士も随分弱くなったのね!!』

「銀士は弱くない。
 絶対に戻ってくる。」

……うん、琉南ちゃんの言うとおりだよ。銀士くんは絶対に戻ってくる。

『帰ってこないみたいだし、まずは貴女から消してさしあげるわ。』

紅園は、1本の刀の先を琉南ちゃんに向けた。

『覚悟はできていらっしゃる?
 わたくし、会ったときから気に入らなかったのよ。
 貴女のすました目と態度が!!』

紅園、狂ってる……。

ーーーーードサっ。

琉南ちゃんは腰を抜かして、座り込んでしまった。

こんな時に銀士くんがいないなんて……。