少しばかり不幸な僕と少しばかり怖い魔界人


「……ん? ここ、どこ?
 琉南ちゃん、大丈夫?」

「うん、大丈夫。」

『おそらく、蒼園の特殊能力の"ワープ"が俺たちをここまで連れてきたんだろう。』

「みんなは?」

ここにいるのは……ボクと琉南ちゃんと銀士くんだけだ。

『別の場所にとばされたな。』

僕の問いかけに丁寧に答えてくれたのは、銀士くん。

案外、優しい。

……じゃなくて!!

「春樹!! 野田さん!!」

僕たちから少し離れたところにいた、春樹と野田さんに駆け寄った。

ゆすっても、2人は目を覚まさない。

首に手をあてるけど、脈拍はちゃんとある。

『呼んでも無駄よ。』

「……紅園……。」

『あら、わたくしの名前覚えてくださったの?
 ふふふ、貴方、可愛らしいから遊んでから殺して差し上げるわ。
 その前に……銀士を始末しなきゃ……ねぇ。』

『良人、琉南、さがっていろ。
 こいつは手強い。』

「わかった。 負けないで。」

『あぁ。』

『ふふふ、わたくしが怖いかしら?
 銀士、今ならまだ助かるわ。
 わたくしたち魔界に戻ってくれるなら。』

『断る。』

『あら、そう。
 残念ですわ。』

そう言うと、2人はどこから取り出したのか、刀を握っていた。

しかも、紅園の方は二刀流。