少しばかり不幸な僕と少しばかり怖い魔界人


『あぁ、さっきは紫子に助けられた。
 さすが、頭のきれるヤツは違うな、琉南。』

「いや、当たり前。」

『なぁ、もう姿を偽ることなんてないんだよ。』

『紅園〈くえん〉!!』

『蒼園〈そうえん〉。』

『バレたのでは仕方がないですわ。
 ふふふ、今回はわたくしの詰めが甘かったのかしら?』

ーーーーードサっ。

すると、野田さんが倒れた。

それと入れ代わるように、紅い目と髪が印象的な女の人が出てきた。

『やっぱり、こいつ、紅園じゃん!!
 あれ? 蒼園は?
 いないじゃん!!』

『はぁ……。
 それでもまだ、隠れてるつもりか?
 三城 春樹……いや、蒼園。』

『え?! 俺?!
 やめてよ、銀士くん。
 俺は、三城 春樹だよ。』

『蒼園、お前は馬鹿か?
 三城 春樹は短髪。
 首に見える蒼い蠍のマークはなんだ?』

『さすが、銀士は頭がきれるなぁ。』

ーーーーードサっ。

野田さんと同じように春樹が倒れた。

そして、蒼い目と髪が印象的な男が出てきた。

紅い女の人にどことなく似ている気がする。

『お兄様、バレてしまいましたわ。
 どうしましょう。』

『そんなの簡単だよ、紅園。
 潰してしまえば問題ない。』

『そうね。
 では、お兄様お願いします。』

『あぁ……。』

ーーーーーパチンっ。

男が指を鳴らしたとたん、辺りがまばゆい光に包まれた。