少しばかり不幸な僕と少しばかり怖い魔界人


*side 絆那*

あれ?

真輝と銀士くんの姿が見えない……。

どこ行っちゃったんだろう……?

まぁ、すぐに戻ってくるよね。

「絆那? どうしたの?」

「ヨシくん……。
 んーん、なんでもないよ。」

「そっか、そんなところにいないで、早くプール行こうよ!!」

「……うん!!」

本当はなんでもなくなんかない。

朝よりも、胸の奥のざわつきが大きくなってるきがする……。

あんまり意識しないようにはしてたけど……。

……もしかして銀士くんと真輝が襲われた……?

なんて嫌な考えをかき消すようにほっぺたを軽くたたく。

その時……

「あっ、真輝!!」

『絆那!!』

「どこ行ってたの?」

『ん~、少しお手洗いに……。』

"少しお手洗いに……。"??

いつもの真輝なら、"ちょっとトイレに!!"って言うはずなんだけど……。

まぁ、小さいことは気にしなくてもいっか。

「ふ~ん、そっか。
 じゃあ、行こ!!」

『うん。』

あたしはこの時、気にしていなかった。

真輝の首筋に見えた、紅い"何か"のマークも……。