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『お兄様、あの2人なんてどう?』
『あぁ、いいと思う。
なんたって"紫子"と"銀士"の近くに行ける可能性が高いからな。』
すぐ近くでそんな話が交わされていることも知らずに呑気にしゃべっているのは……
三城 春樹と野田 真輝だった。
『貴女、すこ~し痛いかもしれないけど、我慢してね……。』
「……え?
春樹、なんか……っあ……!!」
ーーーーードサっ。
『ふふふ、いい子ね。』
「……野田?!
大丈夫かっ?! おいっ!!」
『少し大人しくしてろよ。』
「はぁ? ……うぁっ……!!」
ーーーーードサっ。
『ふふふ、上手くいきましたわね、お兄様。』
『あぁ、これで裏切り者の2人を潰せる……。』
男女の2人組の足下に倒れている三城 春樹の首筋には蒼い蠍〈サソリ〉のマークが。
野田 真輝の首筋には紅い蠍ののマークが刻まれていた。
『この呪いがかかっている限り、この2人は目を覚ますことはありませんわ。』
『……では、少し体を借りるぞ。』
『えぇ。』
ーーーーーすっ。
すると、男女2人組の姿は跡形もなく消えてしまった。
その代わり、倒れたはずの三城 春樹と野田 真輝が立っていた。
『ふふふ。』
『……くくっ。』
黒い笑みを浮かべて……。