少しばかり不幸な僕と少しばかり怖い魔界人


『無理だよ、それは。』

「え、なんで?」

『だって、人間は"扉"があるところまで行けないんだもん。
 だから、殺して"扉"を壊さなきゃいけないんだよ。
 魔界人と、天界人は行けるんだけどね。』

「じゃあ、魔界人か天界人が行けばいいんじゃないの?」

『実は"鍵を握る者"っていうのが、1000年に1度の存在なの。
 魔界と天界の"鍵を握る者"はもう死んじゃったんだよ。』

「その"扉"を開けるとどうなるの?」

『人間界、魔界、天界の行き来が自由に出来るようになる。』

「そうなると、それぞれの世界にメリットはあるの?」

『人間界と天界にメリットはない。
 メリットがあるのは……魔界だけ。』

「魔界は"扉"が開いたら、どうするの?」

『人間界、天界を魔界が征服するの。」

「「えっ?!?!?!!?」」

『魔界さ、奴隷が足りなくなってきてるんだよ。
 だから、魔界の王様は人間とか天界人を奴隷にしようとしてるの。』

「……そんな……。」

紫子から聞いた話は驚愕のものだった。

「……それって、止められないの?」

『方法はあるよ。
 ただ、成功するかどうかは別としてね。』

「その方法、教えて。
 僕に出来ることだったら、やらなきゃ。」

「ヨシくん……!!
 危ないよ、別にヨシくんがやらなくても……。」

「絆那、これは誰かがやらなきゃいけないんだよ。
 だから、僕がやる。」

『じゃあ、方法を教えてあげる。』

「うん。」