少しばかり不幸な僕と少しばかり怖い魔界人


ー西藤家ー

「ただいまー。」

「『お邪魔しまーす。』」

絆那も、紫子の話が聞きたいらしく、ついてきた。

僕は、とりあえず2人をリビングにとおした。

「飲み物、コーラでいい?」

「いいよー、紫子くんは?」

『コーラってなに?』

「わからないのか……とりあえず飲んでみなよ。」

『うん、そうしとく。』

コーラを知らないってことは、紫子はやっぱり人間じゃないんだな……。

僕はコーラと氷がはいったグラスをダイニングテーブルに運んで、イスに座った。

『ボクに聞きたいこと、いっぱいあるでしょ、良人。
 いいよ、答えられる範囲で答えてあげる。』

「……薄々気づいてはいるんだけどさ、紫子、人間じゃないでしょ?」

『う~ん、この世界でいえば魔界人っていうのかな?
 とにかく、ボクは人間じゃない。』

……やっぱりそっか。

「じゃあ、なんで人間界に来たの?」

『ボクさ、魔界の王様に言われたんだよね。
 "人間界には、人間界、魔界、天界を結ぶ扉の鍵を握る者がいる。
  その者を消せば、その扉を開くことができる。"
 ってね。
 ボク、その"鍵を握る者"を殺しにきたの。」

魔界人、恐ろしいよ。

「もしかして、ヨシくんが……」

『んーん、まだ分からないんだよ。
 誰が"鍵"なのか。』

「でも、その"鍵"の人を殺さなくても、いいんじゃない?
 その"扉"があるところまで連れていけばいいじゃん。」