少しばかり不幸な僕と少しばかり怖い魔界人


『おっと、ごめんね。
 力が強すぎたっ。』

そう言って、無邪気に笑う顔はヨシくんのものではなかった。

紫子くんに寄りかかっちゃったよ……。

でも、紫子くんはあたしをちゃんと抱き止めてくれた。

ーーーーーバっ!!

「ごめんなさいっ!!」

『いいよ、キミに怪我がなくてよかったよ。』

「そんな……。
 あ、紫子くん、手の甲怪我してるよ。
 ちょっと待ってね。」

たしか、ポーチに絆創膏が入ってたはず……。

「……あった!!
 はい、手出して。」

『ん。』

「はい、これで大丈夫。」

『ありがとう。 じゃあね。』

「うん、ばいば……いじゃないよ!!
 紫子くん、ヨシくん返して!!」

『あ、忘れてた……。
 今返してあげるから。』

ーーーーーすっ。

「……あれ? 戻った……。」

「ヨシくん!!
 良かったぁ……。
 あれ……? キミは誰?」

ヨシくんの隣に紫色の目と髪をした、あたしたちと同い年ぐらいの男の子が立っている。

……もしかして……

「紫子くん?!」

『そっ、ボク、紫子だよっ。』