『本当に何も聞いてないのなら、吹雪がどうのこうのなんて言わない筈です。私はね奥さん、あなたの調書を呼んだ時から何か隠してるんじゃないかって思ったんですよ。自分の意思とは関係ない吹雪という第三者を登場させる事自体が罪悪感の裏返しです…実はね奥さん、あの夜、偶然私も別件の犯人追ってこの近所のロッジに泊まってたんですよ。確かに吹雪はあったが室内の音が何も聞こえなくなるような轟音じゃあなかった…そっちの捜査は全くの見当違いで無駄足だったんですが、いやぁ私は幸運でした。でなきゃ奥さんの嘘に騙されるとこでしたからね』

そう言った鬼頭は意地悪そうに笑うと、ポケットから手帳を取り出した。

『で、奥さん、あなた何を聞いたんです?』