休日は一日中ゴロゴロしてテレビでも見て時間を潰すのが関の山であった。

賭け事が言うに及ばず、飲酒喫煙も一切しない。

そんな鬼頭が唯一生きている事を実感するのが、こうして相手を追い詰めている時であった。

普通刑事は二人一組で行動するのが規則だが、鬼頭は大半を単独行動で済ませる。

今は上司も諦めているかもしれないが、そんな事は鬼頭にとってどうでもよかった。

大切なのは真実だけである。

誰が殺した?動機は?そして真相は?…それだけしか鬼頭の頭には無かった。

勿論被疑者や参考人に暴力を奮う事は一切ない。

ひたすら外堀を埋めて相手を精神的に追い詰めるだけである。

今のミサ子のように進退窮まって狼狽する様子を見る事に鬼頭は、ある種の異常な興奮を覚えた。