その視線の先にスイッチに触れている自分の右手がある。

それは真っ赤に染まっていた。

『えっ!?…』

知らない内に何処か怪我でもしたのかと慌てて自分の体を見た未はパジャマのズボンや袖にもベッタリと血が付いてあるのを見て愕然とする。

そして無意識に部屋に帰ろうとした先に二つに折れ曲がった多恵が居た。

首筋には深々と何かが刺さっている。よく見れば廊下中が血の海であった。

幸いだったのは、俯せになっていた為、多恵の表情が未音の位置から見えなかった事であろう。

もし見えていたら気丈な未音とて卒倒していたに違いない。

それでもあまりの出来事に未音は激しく動揺した。

動悸と共に腰がワナワナと震える。