何だか妙な臭いもする。

(何これ、誰かの荷物かな?)

軽い気持ちで手を触れた未音はそのべったりした感覚に短い悲鳴を上げ後ずさりした。

(雪が溶けてる…誰よこんな物廊下に置いたの)

心の中で悪態をつきながら脇を通りホールへの入口まで足を進める。

記憶では、たしか角に照明スイッチがあり筈だ。

『あったあった』

二つあるスイッチの両方を押す。数秒してホールと廊下に明かりが点いた。

眩しくて思わず目を閉じる。

暫くの間、目を閉じていた未音はゆっくりと瞼を上げた。