the second 〜永遠の恋人〜

弓暢が他の男達に比べ、あまり誉めてくれないのが少々不満だったが結構タイプなので許す事にする。

アメリカでの留学時代、プロムでどれほど自分が騒がれたか、そして圧倒的多数でクイーンに選ばれた事(勿論金で買った)、社交界でグラスを傾けあった芸能人、スポーツ選手、政治家の数々…。

世界は常に多数を中心に回っているのだ。

長旅の疲れで、いい加減眠くなってきた弓暢はこっそり時計を盗み見た。

(もう12時だぜ!いつまで居るんだよ、この女)

心の中で悪態をつくが弓暢の本能が、この女を怒らせてはいけないと諭していた。

事実多恵の機嫌を損ねて土地を追われたり、職を失った人間は数知れず。

裏社会トップの一人娘が田舎の大学講師を社会的に抹殺する事なんか訳ないのである。

そんな事までは知らなかったが弓暢のとった行動は賢明だった。