『康太君達は?』

『上で滑ってるよ、弓暢先生は疲れたって帰っちゃった』

もう少ししたら康太が来るかも…と期待して待っていた紗英は少しがっかりしながらも未音に感謝した。

康太達はきっと初心者コースの緩斜面まで降りて来るのは退屈だから上でばっかり滑っているのだろう。

技術的に1番上手い未音は尚更そうに違いない。

きっと下で滑っている自分に気を使ってくれたのだ。

そして…講師の弓暢がペンションに帰ったのに未音は来てくれた。

きっと康太も知らないし、未音だって誰にも知られてないと思っているだろう。

いや、もしかしたら学内で知っている人間は居ないかもしれない。

でも紗英は未音と弓暢の関係を知っていた。