ぶつかる!と思った瞬間、猛烈な雪煙を上げて紗英の1メートル手前で急停止する。

『やめてよ未音!ぶつかると思ったじゃない』

口調は怒っていても何時もの事だ。未音が人にぶつかった事など一度もない。

『ごめーん、もうちょっと手前で止まるつもりが失敗しちゃった。ねぇ滑ろうよ紗英』

言うなり紗英が返事してないのに手を引っ張る。

慌ててビンディングにブーツをはめた紗英はストックの力で前に漕ぎ出した。

未音のような華麗なスケーティングスキーは出来ない。

周りを見渡すと初めてスキーをした高校生の時は未だ少数派だったスノーボードが大半を占めるようになっている。

来年からはボードにしようかと考えてる間に紗英はリフトに並んでいた。