宮崎紗英は一人でコーヒーを飲んでいた。

未音達はまだ滑っている。

子供の頃からあまり運動神経の良い方ではなかった紗英はスキーも実はそれほど好きではない。

むしろ高校の時からの仲間、藍原未音、浜口康太、仲村樹との関係を続けたいが為に入部したようなものだ。

後の三人は本当にスキーが大好き…という感じだったが紗英は正直退屈だった。

勿論嫌いではない。

いくら友達関係の為とは言え嫌いな事を続けるのは無理がある。

それなりに滑るし、緩斜面をゆっくりステップターンで滑るのは気持ちよかった。

それでも未音のようにゴンドラで頂上まで登り30度を越えるような急斜面に挑もうという気には到底なれない。

ペンションから見て1番最初のリフトの乗り場にあるレストランで紗英はさっきから休憩していた。

後の三人は大分前に頂上を目指した。彼らのスピードなら間もなく滑り降りて来る頃だろう。

きっと今度も未音が1番だ。次は康太か、それとも樹か…。