尚人も黙って胃袋に流し込む。

すっかり都会の若者になってしまった息子を見ながらミサ子は不思議な気持ちになった。

ちょうど今、尚人の事を考えていたのだ。

私の息子は一体どうしてしまったのだろう…何が悪かったのだろう…

夕食の準備に忙殺されて気を紛らわせていたのだが、今日の昼過ぎ、尚人が通う大学から一通の郵便が来た。

育友会か何かの手紙だろうと封を開けたミサ子は中身を見て愕然とした。

たった1行

『経済学部 北詰尚人 学生番号18962番 退学を許可する』

退学を命じる…ではなかった。

許可すると書かれてある以上、尚人が自主的に辞めてしまったと考えるのが筋だが、ミサ子には信じられなかった。

本当は地元の高校を出た後、長野に残ってペンションの手伝いをして欲しかった