『どうしよう…』

思わず声に出してしまう。

医師が診断した受精日から判断すると、あの忌々しい男が父親である確率が高い。

しかし出張前には雄一郎にも抱かれている。

はっきり言って江里子の胸の内にしまえば分からないだろう。

しかし遠い将来、子供が成長して何らかの事情によりDNA検査をしないとも限らない。

この先何十年もそんな恐怖と戦いながら雄一郎を欺き続ける事が出来るのか…江里子には全く自信が無かった。

子供が出来たと言えば…雄一郎は喜ぶだろう。

兄弟のいない雄一郎は事あるごとに、早く子供が欲しいなと江里子に言った。

(でも雄一郎さんの子供じゃないかもしれないのよ…)

途方に暮れながら江里子は目を閉じた。